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運動をすると筋肉が肥大(サイズアップ)します。
運動刺激により体内で何らかの「物質」が増加し、その細胞が筋肉細胞を刺激して筋肉たんぱく量を増やすことからそれは起こります。
その「物質」が"何か"ということについては昔から関心が集められ、いくつかの物質が候補にあげられ研究されてきました。

１、「テストステロン(男性ホルモン)」および「成長ホルモン」
これらについては、テストステロンや成長ホルモンを分泌できない状態にした動物でも運動負荷により筋肉が肥大することが報告され、成長に伴う筋肉の成長(肥大)には重要であるが、運動による筋肉の肥大には必須ではないと考えられている。

２、「インスリン」
運動後にタンパク質やアミノ酸とともに糖分を摂取することが筋肥大には効果的である。
これは、糖を摂取することにより分泌されるインスリンが筋肉でのたんぱく合成を促進する作用を有するためである。
しかし、インスリンについても、分泌を阻害した動物でも運動負荷により筋肥大が観察されること、また運動により血中インスリン濃度は上昇せず、逆に低下するという事実から、インスリンも"運動による"筋肥大に関与しないと考えられている。

３、成長因子(IGF-1)
今回のテーマである。1950年代に細胞の代謝や増殖を促進する"ホルモン以外の物質"が発見され、主に細胞増殖を刺激することから「成長因子」と命名された。
筋肉細胞自身は増殖をしないため、運動による筋肥大は筋肉細胞のたんぱく合成が亢進し、筋繊維が太くなる結果生じる。
そのことから、筋肉細胞のたんぱく合成を促進する成長因子についても探索がすすめられた。

その結果、筋肉の収縮それ自体が刺激となって、"筋肉細胞自身が「インスリン様成長因子-1(IGF-1)」と繊維芽細胞成長因子(FGF)などを分泌し、近傍の筋肉細胞に作用してたんぱく合成量を増やすことが発見された。これら成長因子のうち、中心的な役割を果たすのがIGF-1である。

ラットにおける様々な研究(今回は割愛)において、IGF-1は運動後の筋肉肥大の関与物質の最有力候補として注目されている。

上記の研究からわかることとして、(私見、考察になりますが)

✔︎筋肉をつける、落とさないためには糖質が必要と考えられているが、糖質は必須ではない。
(効率的に筋肉の成長・肥大ということを考えればもちろん必要である)
ケトジェニックなど糖質制限中であっても、筋肥大は起こる？！

✔︎食事制限によるダイエットにおいては、筋肉を落とさないためにも運動が必要である。
(代謝の観点から考えても運動はすることが望ましい)

✔︎たんぱく合成を促進する、また阻害しないためにも十分なたんぱく質を摂っておく必要がある。
※そもそも材料が無ければ合成されないため。

こんなところでしょうか。
２、３項目目については経験的に当たり前のことではありますが、
このように「知識・根拠・カラダの中でどのようなことが起こっているか」を知りながら、ダイエットやトレーニングに取り組むのでは大きな違いがあると思います。

※補足として筋肉をつけるために糖質は必須ではないということに関して、
糖質を摂ることにより、インスリンが分泌され、「筋肉でのたんぱく合成が促進される」という作用があります。よって糖質を摂ることでより効果的に筋肥大を起こすことができます。
これはあくまでも促進ということになるため、"運動刺激により分泌される物質"という点で考えると、今回のテーマとは異なる点で、必須ではないという表現となっています。

少し長くなったため、今回はこのへんで、、、

次回は後編として、
この"IGF-1が分泌されるにはどのようなトレーニング、運動刺激が効果的か"
を紹介します。
筋肥大(サイプアップ)は多くの男性にとってはダイエットやボディメイクをする上では非常に大切な物質ですが、

一方女性にとっては、筋肥大(サイズアップ)はあまり嬉しくないという方が多いのも事実です。
ですが、メリハリのあるカラダをつくるために全てを落としてしまうというのは得策ではありません。

出るところは出て、引っ込むところは引っ込ませるために、このIGF-1とともに、これまでに紹介したホルモンをトレーニングによって上手にコントロール出来ることが大切だと考えられます。

トレーニングをする際、メニューを組む際の参考にしていただければ幸いです。

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