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肩関節周囲炎(五十肩)における
夜間の痛みの原因と身体的特徴

他ページでは【半年以上持続する肩の痛み】で悩まれていた方に対して、実際にコンディショニングを行い、その後の経過を紹介させていただいております。
よろしければ参考になさってみてください。

事例紹介ページ

肩関節周囲炎・五十肩と診断され肩関節の痛みを呈する症例で、「夜間痛」「就寝時」の痛みを訴える方は多くいます。

臨床で多くきかれる内容としては

◎夜ズキズキとうずくような痛みがあり、眠れない
◎夜寝付けないほどではないが、肩の痛みにより途中で起きてしまうことがある
◎痛みのある方を下側にして眠れない


などではないでしょうか

今回紹介する文献は、上記のような就寝時に起こる肩の痛みが「なぜ起こっているのか」「理学所見としてどのような特徴があるのか」ということを明らかにした内容となっています。

過去の記事と合わせて読んでいただくことで、肩関節周囲炎・五十肩に関する知識、治療方針の決定に役立つ内容となっています。

過去の記事は下記リンクよりどうぞ
「肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)の痛みと可動域制限について」

今回紹介する研究論文はこちら

Ⅰ.はじめに

「肩関節周囲炎」に続発する症状のひとつに「夜間痛」がある。
今回の研究では、肩関節周囲炎に続発した夜間痛例の病期的特徴を明らかにすることを目的に、夜間痛のない群を「対象群」とし、夜間痛があり上方支持組織の炎症を認める群と、夜間痛があり上方支持組織の拘縮がある群に分けて、肩甲上腕関節の位置関係や関節可動域を測定し、それぞれを比較検討されたものである


夜間痛とは
就寝時に生じる疼痛の憎悪により目が覚める症状であり、基本的には肩関節の三角筋付近に鈍痛を惹起し、起床後もしばらく持続するのが特徴。

発生要因
夜間痛発生要因は肩峰下圧の上昇が引き金とされており、病態に応じて夜間痛の発症機序は異なると考えられている。

✔炎症期
肩峰下滑液包や腱板周辺の炎症
✔拘縮期
肩峰下滑液包と腱板との癒着や瘢痕組織

上記が肩峰下圧を上昇させる因子となり、夜間痛発症に至ると考えられている。

このように夜間痛は病期により発症機序が異なるため、的確な評価によって炎症期と拘縮期とに分類し、それぞれの病期的特徴を明確にするとともに、病期に適した治療を行うことが早期回復の必要条件となる。

Ⅱ.対象と方法

対象
◎肩関節周囲炎と診断され理学療法が施行された片側罹患例100例100肩(男性43例、女性57例)
◎腱板完全断裂、上腕二頭筋腱炎症、石灰沈着性腱板炎は除外され、肩関節周辺に手術の既往が否定された症例

方法

夜間痛の程度に関しては、先行研究による報告に準じ分類、使用した分類は夜間痛例の症状に応じて区分けしたものであり、基本的にこの分類にあてはまらない症例は認めなかった
✔Type1:夜間痛がまったくないもの
✔Type2:時々夜間痛はあるが、目が覚めるほどではないもの
✔Type3:毎日持続する夜間痛があり、一晩に2~3回は目が覚めるもの

✔Type4:毎日持続する夜間痛があり、明らかな睡眠障害を訴えるもの
Type1とType2を「非夜間痛群」Type3Tとype4を「夜間痛あり」とし、
超音波画像診断により炎症を認めた群を「夜間炎症群」、炎症がなく拘縮のみ認めた群を「夜間拘縮群」と分類

◎肩関節のX線検査に関しては以下を測定

✔肩峰骨頭間距離(AHI)
✔上腕骨頭径(HHD)
✔臼蓋上腕角(GHA)

◎肩関節可動域の測定
肩関節「屈曲」「外旋」「内旋」角度を計測


Ⅲ.結果
◎肩関節のX線検査
✔GHAに関して、「夜間炎症群」は「非夜間痛群」よりも増大し、「夜間拘縮群」は「非夜間痛群」より増大し、「夜間拘縮群」は「夜間炎症群」よりも増大していた
非夜間痛群<夜間炎症群<夜間拘縮群

◎肩関節可動域
屈曲は「非夜間痛群」「夜間炎症群」「夜間拘縮群」の3群において有意差を認めなかった
外旋は「夜間拘縮群」は「非夜間痛群」よりも有意に減少、「夜間拘縮群」は「夜間炎症群」よりも有意に減少
内旋は「夜間拘縮群」は「非夜間痛群」よりも有意に減少、「夜間拘縮群」は「夜間炎症群」よりも有意に減少
外旋:夜間拘縮群<夜間炎症群≦非夜間痛群

Ⅲ.考察
肩関節周囲炎に続発する夜間痛は、「炎症期」では腱板や肩峰下滑液包炎に生じる浮腫や腫脹を起因とし、また「拘縮期」では肩峰下滑液包と腱板との境界部に生じる癒着や瘢痕組織を起因として発症すると考えられている。
そのためどちらの病期にせよ上方支持組織の容積が増大するため、烏口肩峰アーチを表層へ押し上げる形となり、肩峰下圧は上昇すると予測される。
このような環境下で、就寝時に肩関節の伸展と回旋動作が強要されると、上方支持組織の緊張は高くなり、さらなる肩峰下圧の上昇が惹起されると考えられる。
今回の結果からは
◎X線検査において肩峰骨頭間距離や上腕骨頭径では各群間に有意差を認めなかった。
◎A/H比は夜間炎症群が夜間拘縮群よりも、わずかであるが、有意に減少していた。
A/H比の減少は、上腕骨頭の上方変位量を反映するため、夜間拘縮群と比較して夜間炎症群は、肩峰と上腕骨頭間距離が近接して上方支持組織を弛緩させていた可能性がある。
※コメント
上腕骨頭の上方変位は肩関節周囲炎における原因ではなく、炎症発生後に起こる結果的な現象であると考えられる。
しかし、腱板機能不全に伴う挙上(動作)時の上方変位増大によるインピンジメントと今回の上方変位は異なるものであると考えられる。
◎臼蓋上腕角(GHA)は夜間炎症群や夜間拘縮群が非夜間痛群よりも有意に増大していた。
GHAの増大は県骨外側縁の傾斜量を反映し、同時に肩甲骨の下方回旋量でもある。「夜間炎症群」は、肩峰下滑液包炎や腱板炎に加わる牽引や伸長刺激を回避するため、肩甲骨を下方回旋位にさせて弛緩させていたと考えられる。
また、「夜間拘縮群」は癒着している肩峰下滑液包と腱板により肩関節が下垂位になるだけの可動域が足りず、代償的に肩甲骨を下方回旋位にすることで、上方支持組織の緊張を軽減させているようである。

◎肩関節可動域では屈曲は有意差を認めなかった。

外旋および内旋は「夜間拘縮群」が「非夜間痛群」よりも有意に減少していた。このことから、夜間拘縮群は腱板や肩峰下滑液包に癒着や瘢痕組織を形成しており、同時に組織硬度も高くなっていたと予測される。腱板や肩峰下滑液包の拘縮は、夜間痛発症の要因になるとともに、肩関節の回旋可動域を減少させることがわかった。

◎外旋および内旋は「夜間拘縮群」が「夜間炎症群」よりも有意に減少していた。このことは肩峰下滑液包や棘上筋に生じた炎症は、夜間痛発症の要因となるが、夜間拘縮群のように肩関節の回旋可動域を制限しないことがわかった。

◎腱板炎や肩峰下滑液包炎が主病変の夜間痛例に対しては、炎症を抑えるための薬物療法等に加えて、就寝時には肩峰下圧の上昇を抑えるポジショニング指導が有効と考えられる。


※コメント

 

肩関節周囲炎における肩甲帯のアライメント不良(患側肩甲骨の下方回旋位)は炎症および拘縮による代償的反応(結果)であると考えられる。炎症期には肩甲骨のアライメントを修正することで肩峰下滑液包と腱板には伸長刺激が加わるため、疼痛が憎悪する可能性がある。問診および、関節可動域を始めとした理学所見から病態や起こっている現象の原因を把握し適切な対応が必要となると考えられる。

 

最後に

肩関節周囲炎における夜間痛は特徴的な症状であり、

◎夜ズキズキとうずくような痛みがあり、眠れない
◎夜寝付けないほどではないが、肩の痛みにより途中で起きてしまうことがある
◎痛みのある方を下側にして眠れない


といった訴えは非常に多く聞かれます。
1か月以上の長期化した夜間痛となると可動域改善の予後にも影響があるため、発症早期からの適切な対応が大切となります。

肩の痛み、特に夜間痛で悩まれている方は是非「理学療法士」のいる医療機関や治療院で適切な対応を取ってもらうことをおススメします。

最後まで読んでいただきありがとうございます

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